薫る野牧場のこと

このページでは私が働いている薫る野牧場についてご紹介します。

薫る野牧場ってなに?

神奈川県山北町大野山の東側の尾根にある牧場です。
2018年6月に始まった牧場です。女性が1人で始めたということでメディアにも多く取り上げられました。

2025年現在10頭の牛を飼っています。

富士山も見える牧場。牛たちも寛いでいるご様子。

どんな牧場なの?

A.ジャージー牛を山で放牧している牧場です

その飼い方が独特です。

薫る野牧場には、牛舎がありません
牛はどこで生活しているかというと365日山に放牧されています
牛の飼料も高カロリーで乳生産量に直結しやすい穀物飼料は与えず、主なエサは山に生えている草

飼っているのはジャージー牛。白黒ではなく、茶色い牛。

昨年まで活躍した「れもん」。牧場の開始時に岩手県の中洞牧場から来た牛です。

牛を山に放ち、牧場経営を確立するとともに、山の保全も取り組むこの手法は、山地酪農とも呼ばれます。

国内でこの飼育法を実践している農家は10軒あるかないかといわれています。牧場長の花坂薫は、山地酪農を実践する岩手県のなかほら牧場で修業を積み、独立の場として山北町にやってきました。

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通年昼夜の自然放牧で健康なウシを育てる『なかほら牧場』の直営オンラインストアです。ケミカルフリーのすこやかなミルクと乳製品をどうぞ。

ジャージー牛の特徴は、ホルスタインより体が小さく、傾斜地にも順応し易いこと。そして牛乳は脂肪分が多く、深い味わいを感じられます。

山地酪農を紐解く3つのポイント

山地酪農とは、理学博士の猶原恭爾氏により提唱された山地で行う放牧酪農の手法です。
戦後まもなく提唱されましたが、現在この山地酪農を実践している農家は10軒ほどです。
薫る野牧場でも実施している山地酪農の要素を、3つにまとめて簡単に説明します。

①ノシバの山 人・牛・自然にとって持続可能な山づくり

ノシバは日本在来のシバです。公園にも植わっています。

匍匐茎(ホフクケイ)と言われる茎で地面を匍匐するように茎を伸ばします。
そして地中には、30cmほどの根をびっしり張るのです。

平成28年、岩手県のなかほら牧場に台風10号がやってきました。牧場のある岩泉町では甚大な被害がもたらされましたが、牧場のノシバが植わっていた場所では被害が無かったようです。地面にびっしり張る茎とその根のおかげともいわれています。

また、ノシバの持つ保水力(水を地面で蓄える力)が天然のダムとなり、少しずつ水を排水することで、被害が軽減されたという話も聞きました。このように、まずは災害に強い山をノシバがあることで作ることができます。

勿論ノシバは牛のエサにもなります。牛が食べるとまたすぐに葉が生えてくる強い生命力があります。

一般的には牧草を育て、それを人が刈り取り牛に与えますが、牛がノシバを食べてくれます。
牧草の刈り取り・給餌の労力がかからない、そして牧草の肥料として化学肥料等を与えずに済み自然に影響を与えるリスクを抑えることもできます

ノシバについてはこちらの記事に詳しくまとめられています。

また、ノシバに限らず山の草の状況は季節により変わります。冬は夏場に刈り取った乾草を与えますが、夏は自生している草がメイン。そのため、季節により牛乳の味や見た目が変わります。

確かに牛は「経済動物」ではありますが、均一な品質を人間が操作するのではなく、牛も人間も自然も負荷をかけ合うことなく事業を行うことは、農業にとって理想的な状態だと思います。

②牛は365日、自然放牧。出産も牛任せ!?

牛は常に放牧地で過ごしています。草を食べたり、葉を食んだり、寝たり。自由気ままに過ごしています。また、放牧地は傾斜地もあるため、牛は1日にかなりの距離を歩きます。病気のリスクや、分娩時の事故のリスクも下がると言われています。

分娩も牛任せ。寒い日、雨風が強い日は勿論心配になりますが、基本的には人間が分娩の介助を行いません。

③商品製造

山北町内唯一の販売店 やまきたさくらカフェ さくらの時期限定ソフトクリーム(さくら)

薫る野牧場では、搾った乳はソフトクリームミックスにも加工しています。

ジャージー牛の生乳から作られたソフトクリームは、濃厚ですが、後味がすっきりとした味わい。
濃厚なソフトクリームが各地で食べられますが、その多くは生クリームなどを添加したものがほとんどです。しかし、ここのソフトクリームは一味違います。それは原材料。

生乳・脱脂粉乳・てんさい糖」しか入っていません。一般的に売られているソフトクリームは、食感・味を良くするため、保存が効くようにするため色々添加されています。

薫る野牧場には遊びにいっていいの?

 A.見学の受け入れを行っています。

まず留意してい頂きたいことが一つ。この牧場は、観光牧場ではありません。

直売所やレストランはおろか、トイレもございません
牧場見学について、牧場HPをご確認ください。

https://kaorunofarm.com/

私の牧場での仕事内容

A.草刈りや搾乳、商品の製造・納品を行っています。

3名(うち一人アルバイト)で運営している牧場です。仕事はなんでもやります。私自身、薫る野牧場で畜産に初めて関わりました。命を預かる責任の重い仕事ですが、一方でやりがいも大きいです。

私が主催しているツアーでもこちらの牧場がコースになっています。
是非ご参加ください~!

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