【2021年】山北産メープルシロップができるまで【樹の選定編】

やまのはなし
イタヤカエデの葉

一昨年から続けているカエデの樹液の採取。

メープルウォーターとも呼ばれる樹液を冬から春にかけて採取し、これを煮詰めると「メープルシロップ」に変身します。

樹液の採取のまとめは昨年制作したこちらの記事をお読みください!

今年採取を行う樹を選定に行ったので、今日は「樹の選定編」です。

樹の選定【基礎知識】

メープルシロップの主要生産国は「カナダ」です。
カナダでは主に「サトウカエデ」と呼ばれる樹から採取を行っています。

日本国内ではどうかと言いますと、山に自生しているサトウカエデの樹はほぼありません。しかし、既に日本国内では東北地方・甲信越地方・北海道の各所で樹液の採取とメープルシロップの加工を行っている事例があります。

多くは山に自生している、

  • イタヤカエデ
  • ウリハダカエデ
  • シラカバ

等の樹種から樹液を採取している場合が多いです。

因みにウリハダカエデとシラカバは山北町(の主に私の生活圏)ではあまり見かけない樹。

主にイタヤカエデから採取を行います。

樹の選定【実践】

一昨年・昨年とこれまで2年樹液の採取を行ってきました。

樹の選定の目的は、

  • これまで採取していた樹は健康か
  • 周囲に採取を行える樹が無いか

主にこの2つです。
健康かどうかは、昨年空けた穴が塞がっているか、葉はつけているか等外見をチェックする程度です。
周囲や採取に適した場所でイタヤカエデが無いかも探します。

では、採取に「適した」樹とはどんな樹なのでしょうか。

本当に採取に適した樹とは

樹種は最も重要です。異なる樹種の樹からも樹液の採取は可能ですが。煮詰めても煮詰めても甘い香りはせず、勿論メープルシロップにはなりません。また、樹の径が小さい・若い樹から穴を空けて採取をしてしまうと、成長を大きく阻害して、枯らしてしまう可能性もあります。

では、十分な大きさのイタヤカエデであれば全て採取に適しているのでしょうか?

私の答えは、NOです
適しているかどうかは以下の2点も重要です。

アクセスに難が無いか

カエデの群生地があっても、急斜面では採取を行うのが大変。例えば20リットルのポリタンクで採取したとして、嬉しいことに樹液がタンク一杯に入るとします。これを持ってその急斜面を登りたいですか?という問いです。頻繁に見に行くのも、ちょっと気が引けますよね。

採取の許可は取れるか?

山に植わっているからといって勝手に採取してもいけません。で、地主さんに許可を取らなければいけませんが、その土地が誰の土地か調べるのにはなかなか大変。私は山北町の山の全てを知っている強力な方々と偶然知り合いで、何とかなってます。

見ず知らずの土地、特に樹の周りに目印(電柱・石碑・道路等)が無い場合は大変かもしれません。近隣に住んでいる方や、役場、森林組合などが相談に乗ってくれるでしょう

次に、採取に適した3つの樹の紹介です。

イタヤカエデ

こちらの葉っぱ。よくみる「モミジ」と比べて葉が大きいです。また、モミジは赤く紅葉しますが、イタヤカエデは黄色くなり落葉します。

樹皮は縦に線が入っているのが特徴。

ウリハダカエデ

こちらもまた葉が大きいですが、イタヤカエデとはまた違った形(写真無いのでTwitterの引用)。
樹皮もまた特徴的で名称に「ウリハダ」と入っているだけあります。「マクワウリ」という瓜に似ていることからこの名称だそう。

オニイタヤカエデ

イタヤカエデを大きくした感じ。葉の彫り?谷?が浅くなっています。
樹皮はほぼイタヤカエデです。

結果:樹は全て健康そう。新たに採取できそうな樹も

2年間採取してきた樹は至って健康そうに葉をつけていました。空けた穴もしっかり塞がり樹の力を感じます。

周囲を改めて見渡すと採取できそうな樹も発見。今年は初めて「オニイタヤカエデ」からの採取もやってみます。この樹は、年間100日以上通る道の横に植わってました。最近、その道を歩いていたらふと見つけてしまったのです。

今年は助っ人も招聘

樹のことは何でも知っているY氏

2年間採取を続けてきましたが、樹について決して詳しいわけでも無く、確信が無いまま。
そして2年連続、樹液は採取できても煮詰める過程でほぼ全て水になってしまうという事態を踏まえ、選定2日目は強力な助っ人をお招きしました。

これまでミズキの樹液を採取していた話

こちらの樹。なんとなく、イタヤカエデに似ていて、周囲にその葉も落ちていたので2年間採取してきたのですが…助っ人に見てもらったところ「ミズキ」と判明。そしてミズキというくらいなので、樹液もたくさん出ると判明。確かに、この樹からは10L以上の樹液が取れたことも。ただ、甘いそれにはなりません。そりゃ煮詰めても全て蒸発するよな~と気付けて良かった。

これまでイヌシデの樹液を採取していた話

なんとなく樹皮がウリハダカエデっぽい!?ということで採取していたこの樹は「イヌシデ」でした。前述のミズキとこのイヌシデは葉が目視できなかったことから、樹皮のみで判断していたのが誤りの原因。陽射しがほぼ入らない鬱蒼とした森なので、葉の位置がめちゃくちゃ高くて見えなかったのです。

次回は「採取開始編」

これまでの間違いにも気づくことができ、今年はようやく「メープルシロップ」が出来るか期待しています。次回は採取開始編。

採取の方法についてもまとめてみようと思います、次回もお楽しみに!

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