《2020年》神奈川県山北産メープルシロップができるまで《自家製メープルもできる!?》

やまのはなし

皆さんはメープルシロップ、好きですか?
お菓子の材料や、ホットケーキなどのお菓子のトッピングなど、実に色んな使い方がありますよね。

私は好きでしたが、はちみつの親戚?程度のことしか知りませんでした

調べてみると、どうやらメープルシロップの原料は樹から取れるとか。
私が今住んでいる山北には樹がいっぱいあります

というわけで山北町共和に住む友人と共に、昨年から「山北のメープルシロップ」を作ろうとしています。

ただ、

メープルシロップ(の原料)はいつでも採取できるものか分からないし、
採取に適した樹がなかなか無いかもしれないし、
そもそも、神奈川の気候でも採取ができるのか、などなど。

色んな疑問が持ち上がってきました。

というわけで、まずはやってみよう!ということで昨年から採取を始めています。

今回の記事では採取の方法から、今年の結果までリポートしたいと思います。
この記事を読めば、あなたも樹液の採取を始められるかもしれません!!

メープルシロップとは?

カエデ科の樹の特徴はこの形の葉

メープルシロップとは、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料です(WIKI メープルシロップより引用)。

サトウカエデというのはカナダで採取に使われる樹の一種。北アメリカ原産の樹なので、日本国内では街路樹などでしか見られないです。因みに、カナダの国旗の真ん中にある樹もサトウカエデです。

そんなサトウカエデなどの樹から、樹液を濃縮します。
樹から直接メープルシロップが流れ出てくるわけではありません

採取後、濃縮(≒軽く煮詰める)するわけですが、一般的には40Lから1Lのメープルシロップが出来上がります。かなり濃縮します。

カエデ科の樹木の中にモミジがあります。モミジにも色々あり、中にはメープルシロップの原料が取れるものも…モミジは街路樹としても多いので、街中でメープルが取れる日が来るかもしれません。

国産メープルってどうなん?

日本の7割はこんな風景です

国内でもメープルシロップの原料の採取と、シロップの製造を行っている地域があります。
寒冷地が多いです。北海道や宮城、青森など東北地方、関東近郊では長野県や埼玉県秩父などで採取が行われています。

伐らない林業」として今では注目される存在でもあるようです。

従来では樹が伐期を迎えるまで育て、間伐や枝打ち、下草刈りを行い、伐ったあとも樹を林道まで運び、それを運搬し製材、それでやっと収入が得られるわけです。

メープルであれば、樹がある程度の大きさを迎えれば(20年~30年)毎年採取を行うことができます。樹の伐倒、運ぶ労力はかかりませんし、エコツアーや体験観光と絡められる可能性も高いです

樹齢20年程の樹であれば、穴を開けて樹液を採取しても枯れません。穴は自然治癒もしくは木工用ボンドを穴に詰めるという方法もあるそうです。昨年は自然治癒で、問題ありませんでした。

国内では埼玉県の秩父がメディアの露出も多く、注目を集めています。

TAP&SAPという会社では樹液の採取を行い、メープルシロップをはじめ、様々な商品の製造まで行っています。「MAPLE BASE」という施設も運営しています。ここでは自然の恵みを味わえるような商品の販売や、飲食まで行えるということです。

原料の採取から販売まで、メープルシロップに六次産業化の可能性が見られます

樹液採取に使う道具の紹介

インパクトとドリルピット

インパクトは充電式で持ち歩けるものであればなんでもOKです。
カエデの樹が硬く、ドリルが入りにくいこともあるのでパワーはあるに越したことはないです。

ドリルピッドの径はスパイルの径と合わせる必要があります。

スパイルと連結させるホース

スパイルとは、樹の穴に差し込む器具です。
差し込んだ後にホースを伝って樹液が採取できます。

スパイルはネットで注文すると楽です。カナダからの直輸入のものなど、色々あります。

ペットボトル等の容器

樹に穴を開け、スパイルとホースを通じてこちらのペットボトルに樹液がたまります。
500ml入りだと1日でいっぱいになってしまったりすることもあるので、2L入りを推奨します

2L でも足りなければポリタンクなどを別途用意すると良いと思います。
そんなに取れたことはありませんが…。

採取の時期

雪解けの時期、冬から春に移る時期と言われています。

冬、気温が下がりきると、樹は根から水を吸い上げなくなるそうです
気温が少しずつ上がり、春に向かいます。樹の枝には芽が見られ始めます。

樹は芽を一斉に芽吹かせようと根から水を吸いあげ始めます

そのタイミングに「お裾分け」して頂けるのがメープルシロップの原料となる「樹液」だそうです。

山北町での採取に適した時期は、近隣での実績が無い為よく分かりません。
昨年は2月から採取をはじめ3月終わりくらいから一気に出始めたりしました。

その年の気温の変化をチェックする必要がありそうです。

採取の手順

①カエデがある場所を探して、地権者に許可を取る

樹に穴を開け、樹液をお裾分けしてもらうので、樹が植わっている土地の地権者の許可が必要です。

地権者の確認は、①地元の人に聞く ②役所で聞く ③管轄の森林組合で聞く などの方法があります。私は①で確認できました。山の土地は、曖昧なところもありますので、①か、③経由で地元の方に確認して頂くのが確実かもしれません。

②採取に適した樹を探す

上を眺めても、下を眺めてもカエデは見つけられるかも

カナダではサトウカエデという樹で採取が行いますが、他の樹種でも可能です。

日本国内で採取に適した樹は、イタヤカエデ、オオモミジ、ウリハダカエデ、など色々あります。

適した樹は、葉と樹皮で見分けられます。
葉が出ている時期に探すのが確実です。
双眼鏡などあればどの樹がどんな葉をつけているか見えます。大体6月くらいでしょうか。

また、葉が落ちた時期に探すと、その樹がどこにあるかある程度分かります。

下を見て歩けば、どのあたりにお目当ての葉が落ちてるか分かるわけです。
こちらは11月以降ですね。

樹皮はというと、ウリハダカエデは分かりやすいですが、それ以外の樹は分かり難いです…。特徴的なのは本当に分かりやすいので、ネットや本を参照してみましょう。

③(採取時期)樹に穴を開けスパイルを取り付け、容器を設置

インパクトで樹に穴を開けます。穴の広さはスパイルがちょうど差し込める広さに開けます。
ドリルピットも勿論その径のものを用意してください。

スパイルを差し込み、ホースを取り付けます。
ホースの先では2L入りのペットボトルの容器で受けると簡単かと思います。

ホースの入っているペットボトルの口はラップなどで覆うと塵などゴミが入らなくて良いです。
あと、必ずPPひもなどでペットボトルは樹に固定してください。

④こまめに見に行く

全然溜まってません。今年はあまり取れませんでした

今年は2月~5月頭まで3か月採取してみました。毎日~2日に1回行くといいです。

逆に言うと、毎日見に行っても苦にならないところで採取を行うと、良いということです。
樹液が採取できると1本2Lのペットボトルを持ち歩かなければなりません。

なるべく近くで、車を近くに付けられる場所が採取において楽です。

⑤樹液を煮詰める

若干黄色味がかった樹液

煮詰めるといっても、コトコト煮るわけではないです。
樹液中の水分が抜ける程度に火にかけます。
因みに、煮続ければ完全に気化してしまいます(笑)

目安は樹液の量が40分の1になったときです。
なので、例えば20Lからは500mlしかできないのです。

ストーブの上に置いたり、超とろ火で火にかけたり、色んなやり方があります。

樹液はそのまま飲むと甘いの?

甘くはないですが、水ではないような少し変わった味がします
ただ、限りなく水に近いです。目をつむって飲めば、わからないかも…。

一方で、メープルウォーターという商品があり、これはこの樹液をそのまま製品にしたものです。
カロリー・エネルギー量が低いことから滋養飲料として海外では親しまれています。

今年の採取実績

今年はイタヤカエデ4本と、ウリハダカエデらしき樹3本 計7本で採取を行いました。

採取量は4Lほどと、昨年に比べかなり少なかったです
(参考 昨年は2か月で15L ほど採取)
採取の時期は2月~5月頭まで。なかなか出ないので長めにやってみました。

採取量が少なかった理由は、

例年に比べ平均気温が高かった

というのが一番大きいところかと思います。

今年は暖冬で、なかなか寒い日が無かったので。
2019年の冬は統計開始以降、もっとも気温の高い冬だったそうです。

終わりに

日本でメープルシロップの生産を行うということは色んな意味があると思います。
国内には利用されていない山林が沢山ありますし、カエデであればすでに自生している樹もそれなりにあります

採取と製造のノウハウが備われば、まずは自家用でもメープルシロップを作ることができます。
山林の活用は今後更に重大なテーマとして存在すると思います。
山の恵みをお裾分けしてもらう」という価値観もまた、見直すべきなのではと思います。

気温に左右されるということが2年目にして分かったので、来年も継続して行いたいと思います。

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