8月に入り梅雨も明けると、標高700m近い薫る野牧場も気温30℃を超える日が長く続きます。しばらくすると山に生える草もあっという間に大きくなります。
薫る野牧場では山地酪農を実践しています。春から秋にかけては山に自生する草を牛に食べてもらう訳ですが、冬はその草が生えてきません。
そのため、草があるこの夏に冬場の飼料用の草を用意します。
4日間に渡る作業の様子をまとめていきます。
乾草は冬場の大事な飼料
前述の通り冬場は草が生えないため、この夏場の草を牛に与えます。
一般的な農場では、牛の飼料に適した牧草の種を春の内に播き、夏に刈り取り、乾草やサイレージにします。
薫る野牧場では、自生しているチカラシバなどのイネ科の雑草等を刈り、冬場に与えています。サイレージは昨年大失敗したので、今年は乾草のみ。
腐るわけではなく、発酵します。そうすると乳酸や酢酸が発生し腐敗を抑えるとともに、牛の食欲をそそる香りがたちます。
主な手順
①刈る
これをしなければなにも始まりません。よく晴れた草も地面も乾燥した日に草を刈ります(乾燥していないと後の作業に悪影響)。
今年は乗用のモアを使用して草刈りを実施。物凄いスピードで草刈りができます。ただ、傾斜地や凹凸のある場所では危険なので要注意。このようにゆっくりと走行して草を刈ります。
②乾かす
刈ったら乾かします。よく晴れた日が1日~2日あればある程度乾きます。
ただ、草の量が多い場合は草の上面のみ乾き、地面に近い場所は濡れているケースもしばしば。草を天地返しすると草の乾燥も進みます。
③並べる
ある程度乾いた草を1列に山にして並べます。この列はウィンドロー(ウィンドロウ)と呼ばれ、このあとの巻く作業を行うために必要な作業です。更に山にしておくことで、朝露が下りるのが山の上層部分だけになるので、濡れる草の表面積を減らすこともできます。
④巻く
ロールべーラという機械を使って乾いた草を巻きます。草を集めやすくする為にウィンドローを作る必要があります。草が一定量巻かれると自動でブザーが鳴り、草を紐で縛ります。
大規模な農場ではより大きい機械が採用されますが、我々のような小規模農場ではこのような機械を使います。ギリギリ軽トラにも乗る優れたロールべーラです。
⑤包む
今度は巻かれた草をラップマシーンでポリ素材のラップで巻きます。ラップで巻き、草を密閉することで腐敗を防ぎます。こちらも大規模な農場だと巨大なラップマシーンが登場するのですが、ここでは小さなこんな機械で行っています。
因みに、ロールにしてからなるべく早くラップしないと、草の腐敗を進めてしまい乾草の状態を悪くしてしまうと言います。なので、大体10ロール作ったら軽トラで運び、ラップします。
軽トラには詰め込めば12ロール(4×3)載ります。気温も非常に高く腐敗が進むのを少しでも防ぐため、休憩はラップが終わってからです。
8月7日 乗用モアでひたすら草を刈る
この日はひたすら草刈りの日。因みに乗用のモアは農協で借りてきたものです。農協の組合員だとなかなかの安値で借りれるので非常にありがたい。気温は30℃越え、前日もよく晴れていたので最高の草刈り日和でした。
8月8日 草を反転&ウィンドローに&巻いて包む
ひたすら草を反転させ、ウィンドローを作り、さっそく巻き始め。朝は朝露で草の表面がだいぶ濡れているので、午前9時くらいからロールベーラで巻きます。
普段は牧場スタッフも3人しかおりませんが、この日に限っては助っ人が登場。ウィンドロー作りはひたすら人が熊手を使って行う肉体労働ですが、人手があるとめっちゃ早く進みます。例年来ていただいている方がおり、大変助かっております…。
8月9日~8月10日 ウィンドロー作り&ひたすら巻いて包む
いよいよ作業も佳境に。1日あたり30~40位作れましたが、「いかに手早くウィンドローを作れるか」が作業を早くする肝。
因みに、ロールベーラは口を開けるとこんな感じ。大体15キロくらいの草のロールになります。ぐぐっとまとまって見えるのは、草を集めてから麻紐でロール全体を縛ってくれるから。麻紐で縛らないとバサバサとしていて、実際に持ち上げると容易くロールが崩れてしまいます。
結果
およそ4日間で約150ロールが完成しました。壮観です。
作ろうと思えばもう50ロール分くらい作れそうな程、刈った草もあったのですが、一冬で5頭の牛が食べきれる量がだいたいこれくらい、ということでそれらの草は結局ロールにはしませんでした。
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