2020苗作り④種まき後の育苗の経過

稲作

苗作りもいよいよ後半戦!

種まきが終わりました。後は苗箱の温度管理と水やりを定期的に行えば、苗は大方完成します。とはいえ、苗は生育段階ではまだまだ赤ちゃんの段階。私はあまり気にせず作っていますが、ハウス内で育苗を行ったり、苗箱をプールに浸して管理したりと、色んなやり方があります。

私は、積み重ね法で出芽させます。

その後は苗箱を並べ寒冷紗をかけるのみです。

調べるといくらでも方法が出ますが、資材をなるべく投入しない、すぐにでも始められる手法として、かれこれ5年やってきました。それを今日は紹介します。

今回の記事を読む前に前回の記事を読んでいただくと理解が深まりますので、お時間ある方はさくっと読んでみてください。

播種直後の苗箱 苗箱を積み重ねて出芽させる

(5月3日の様子 種まき直後)

こちら、種を蒔いた直後の苗箱。しばらく(2日~3日)は苗箱を10段毎に積み重ねて置いておきます。そんでもって苗箱の保温の為にブルーシートをかけます。

種籾の出芽を活発にするためには温度が必要だそうです。適正な温度は30℃~32℃とか言われていますが、この温度管理をミスって、めちゃめちゃ高温になってしまうと、イネの病気のリスクも一気に上がるらしいです。

苗箱はどこに置くかというと、

朝だけ直接陽が当たる場所に2~3日、出芽するまで置きます

この方法を積み重ね法と呼ばれています。去年から同じ場所に置いていますが今年は出芽が遅くなってしまいました…もう少し陽の当たる場所に置くべきなんだと思いますが、こまめに温度管理できなくて怖いため、ちょっと弱気でいます。

知り合いの農家さんは、濡らした毛布で苗箱を包んでおくと一気に出芽して楽!ということも話されていました。本当に色んなアイデアがありそうです。

一方で、高湿はカビなど病気の原因菌を繁殖させやすいので、積み重ねた苗箱の間に乾いた新聞紙を噛ませるといい、とか色んな話を聞いています。これから色々試していきたいと思います。

積み重ねた後、芽が土の表面から現れるのをしばらく待ちます。

積み重ね法では上下で温度が結構変わったりしますので、天地返しをすると良いとも聞きます。出芽してないかチェックしてないか見るときに、上下の苗箱を入れ替えています。

出芽 まずは芽を出す

(5月7日 まあまあ出てくる)

種まきから4日がたち、ようやく芽が出てきました。
白いぽつぽつが芽です。直接陽が当たっていないので、まるでもやし。

発芽=種皮から幼芽などが出現すること
出芽=種子が覆土を押し退け、地中から芽が出現した状態 
 

(5月8日 けっこういい感じになる)

いよいよ積み重ねも終わりかなという雰囲気になってきました。このころには温度も徐々に上がり、朝晩の冷え込みも収まってきました。

今年は種まき後、ネズミに籾を食われました…

積み重ねた一番上の苗箱の籾が掘り返された。ネズミの仕業。一回場所を覚えると何回も来る。「駆除」か「退避」の2択。根絶やしにするのが手っ取り早いようなので、「駆除」を選択。それ以降ネズミが現れなくなりました。抑止力ってやつでしょうか。

緑化期~硬化期 徐々に苗らしい姿に

(5月11日 もやしから緑のイネに。緑化期)

このまま積み重ねておくと、もやしになってしまうので、積み重ね&ブルーシートはここまで。家の前の元畑スペースにに並べます。並べただけにしておくと、籾が小動物のエサになってしまいます。寒冷紗をかけ、先日食われたところは厳重にガードしておきます

水やりは1日1回。早朝、日の出後すぐにくれてやります。水やりは潅水とも呼びます。苗箱1箱に対して17秒~20秒くらい、うちの庭にあるシャワーヘッドで水をくれてやります。水量は良く分かっていませんが、これくらいやれば1日乾ききらず、枯れる苗が少ないです。

寒冷紗のトンネルを作り、小動物によるいたずらを防止

因みに、この段階でも遮光シートをかぶせておくやり方もありますが、うちは寒冷紗のみです。特に高温の日が続く場合は遮光シート等が必要になると思います。

積み重ねを終え、徐々に外界の環境に順応させるこの時期を緑化期というそうです。
文字通り、葉が白から緑になっていきます。

水やりはいつすればいいの?という疑問

苗や野菜への水やりは朝のみという話をよく聞きます。それは何故か。

まず、夜間は植物が光合成をあまりしなくなるため、水を必要としていません。ただし、極端に土がカラカラ、苗が枯れそうというときはあげたくなりますよね。夕方やる分は良とも言われています。

次に、昼間。植物全般で昼間、炎天下での水やりは推奨されていません。土の中が蒸れるとか、色々聞きます。

では、どうすればいいか。

時間のある朝は複数回に分けてたっぷり水をやること。
酷暑の日は土がカラカラで苗も元気がなくなってしまうので、夕方水をあげる。

というのが私の回答です。
正解はいっぱいあるので、あなた自身で探してみてください。

(5月16日 丈夫な苗になっていく硬化期)

外界の環境にも慣れ、徐々に苗として大きくなります。苗作りの最終段階であるこの時期を、硬化期と呼ぶそうです。茎ががっしりしてきて、葉の数も増え始めます。

(5月25日頃 葉が4枚くらいに)

播種から22日経過。いよいよ苗らしくなってきました。

葉の数も4枚くらい。茎から分かれた葉の数は「葉齢」と称され苗の発育段階の基準になります。私は成苗を目指しているので、あと0,5枚~1枚葉が出てくれればゴールです。

私が成苗を作る理由

規則的に並んでいるイネの間に生えているのがコナギという厄介な雑草。

私は田んぼで除草剤を使いません。とはいえ、田んぼは雑草との闘い。そこで、田んぼの水を深く張ることにより土への空気の供給を極力止めることで、雑草の発芽を抑制します。これを深水管理と呼び、水深は10cm以上を推奨しているため、小さな苗では水没してしまいます。そのために大きい成苗を作ります。

その他にも、成苗を作らなければならない理由がいくつかありますが、それだけで記事が一本かけてしまいそうなので、今日はここまでで留めておきます。

地中が酸欠状態だと逆に発芽が促進してしまう「コナギ」という雑草もあります。一方でヒエという雑草の発芽抑制には効果があります。そのためコナギに対しての対策はまた別で講じなければなりません。

(6月6日 田植え当日 葉は4.5くらいか)

軽トラで15枚ずつ運びました。2往復で運搬完了

播種から33日が経過。明日はいよいよ田植えです。
葉齢は4.5くらいですが、例年に比べ若干苗の丈が低いです。

成苗を作る際、35日~40日の日数が必要と言われていますので、若干日が足りなかったかなという印象を受けました。来年はもっと余裕をもって作業したいですね。

播種後の作業のまとめ

  1. 苗箱を積み重ね、ブルーシートで覆い、保温。
  2. 出芽したらブルーシートを外し、並べて寒冷紗をかける。
  3. 毎日水やり。主に朝。複数回に分け、たっぷりと

これだけです。非常に単純ですが、苗の様子が日ごとに変わっていくので本当に面白いです。今年は初めて苗箱をネズミに荒らされたりと、教訓になる事件もありました。

また、今年は育苗のスケジュールがギリギリでした。成苗を植えたい場合、播種後田植えまで35日くらいだと、ギリギリです。特に今年は播種後の出芽が遅かったので尚更です。主な原因は温度不足だと思います。

来年は播種後40日目に田植えができるくらいのゆとりのあるスケジュールで組んで、健康で丈夫な成苗を作りたいです。

さて、次はいよいよ田植え!今年はコロナ禍の中、果たしてどんな田植えになったのか…。

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