稲作は今年で5年目。田んぼでのイベントの運営もある程度慣れてきたところなので、これからやりたいことも色々浮かんできました。そんな一部を紹介します。
なぜ私が稲作をやっているの?という方はまずこちらの記事からお読み下さい。
「おだあし百人田んぼ」の継続

2019年にスタートしたおだあし百人田んぼ。田植え・稲刈り・草取りなどの作業の時は集客を行ったり、知り合いに来て頂いたりして、参加費を頂く形で存続しています。
田植え機も稲刈りの機械も持っていませんし、田んぼは手間がかかります。この田んぼは皆さんと一緒に管理していると私は考えています。初年度の昨年は100人の方に田んぼに来ていただくこともできました。
イベントを通じて米や農について少しでも考えて頂き、最終的にはおいしいお米を皆さんにお届けできればと思います。百人とは言わず、200人も300人もお越しいただけるようなイベントにしたいです。
生徒にとっておもしろい授業をする

2019年から、山北町にある通信高校「鹿島山北高校」の農業の授業の一環として、当田んぼで授業をさせて頂いています。授業なんて一度もやったことが無い状態で、去年はじめました。
田んぼでの作業は慣れたものですが、教室で行う1時間の授業は難しい!
資料を読むだけでは、生徒は退屈する。資料以外のことをたくさん話しても、生徒は上の空。
困り果てた私が出した解決策は、
でした。プレゼンなら何回もやっています。これです。
20分のプレゼンを3回やる
テーマを3つに区切り、退屈させないようにします。時に動画で、時にパワーポイントを使って、動きのある1時間を作ります。そして生徒に色々聞きます。リアクションが無いとショックですが、1時間でなんとか攻略します。
昨年は最後の授業で「プレゼン3回作戦」を1度試したきりなので、今年は安定感をもって行いたいです。そして、どうしても授業で行った田んぼのお米が食べたい!という高校生が一人でも現れてくれたら目標達成です。
低コスト・小規模稲作を確立

現在管理している田んぼの広さは1反。ここで獲れるお米は、せいぜい頑張っても1~2世帯分くらい。例えどんなに頑張って売ろうとも、よっぽど高単価で売らなければお金にはなりません。
じゃあ田んぼをいっぱい借りてお金をかけて農機具も買って、沢山米を収穫すれば?
となるのですが、私はそんなにお金がありませんし、米農家になろう!とは思っていません。田んぼで使用している農機具は脱穀機とたまにトラクターを借りるのみ。田植えも稲刈りも手で行います。機械は非常に高価で簡単には手が出ません。
現在、日本では多くの田んぼが無くなっています。使われないから。
そして家を建てた方がお金になるからです。
私は、
あまりお金をかけずに、手間もそこそこに、1年分の米をみんなで作ろう
ということを皆さんに提案したいです。お米を作れば年間のお米代が浮き、日本人独特の農的感覚を今一度養うことができます。小規模であるならば、農機具がなくてもお米が作れます。極端な話ですが、全世帯が田んぼ1枚持っていたらと考えると、現代の豊かさとは違った価値観が日本にもたらされる気がします。
まずは私が、最低限の農機具とお金と農地、そこそこの手間で行う稲作を行っていきたいと思います。
まずはお住いの市区町村の役所に行って話を聞いてみよう!
「農家」ではなく「イベンター」に

私は農家になりたいわけではありません。米作りに色んな人に関わってほしい。自分で(少しでも)育てた米の味は違うということを知ってほしいです。参加者には食を考えてもらうきっかけに、イベントとして安定した運営をすることで私自身もより多くの田んぼを管理できるようになれればと思っています。
みんなが入りやすい田んぼ作り

なんといっても、田植えと稲刈りでお客さんを呼んでいる身としては、安心して田んぼに入って頂けなければいけません。これは大きな責任です。
当田んぼでは、農薬は一切使用していません。所謂農薬不使用ということで、無農薬とは少し異なります。最近の農薬は改良されていて、人体への影響も少ないとも言われていますが、全く影響は無いとは私の知識・経験では言い切れないので、農薬は使っていません。
それでいておいしいお米がいっぱい獲れる田んぼに

基本的に除草剤を使わなければ、田んぼには雑草が繁茂します。もはやイネを育てているのか、雑草を育てているのか困惑するくらい雑草が出てきます。
雑草が増えるとどうなるかというと、イネが吸収するはずの田んぼの土・水に含まれる養分が雑草に奪われてしまうわけです。そうするとイネは貧弱に、獲れるコメの量も減るという算段です。
農業のゴールは、限られた農地の中で最大量且つ高品質の作物を栽培することだと思いますが、私の取り組みはこれに反していて、理性的に考えれば農薬を使わない選択肢は無いです。
しかし、昨今は消費者の意識も大きく変わりつつあり、無農薬で稲作に取り組む方も増えてきています。そのノウハウもネットを中心に広く流通しています。技術はいくらでも盗めます。あとは経験が物を言うところ。
私のゴールは、
「安心して入れる田んぼで、米を沢山獲って皆さんと美味しくいただく」
ということです。
農地の維持・活用の選択肢になる

戦争や様々な社会の流れの中でコメ不足に陥ったとき、米を作っている人々は強いと思います。農地を維持し、食料を国内で自給するということは、いわば国防に近いんです。
例えば、(頓挫しましたが)TPPのような、貿易の自由化が進む日が来るとします。海外からは安くておいしいお米が大量流入。国産米の値段は勿論価格競争の中で下げざるを得なくなります。そうすると農家の収入もダウン。稲作をするメリットが減り、ますます離農が進みます。
しかし海外に食料自給を依存するのは大きなリスクです。物流が途絶えたら日本人は、日本国内で作られた食料を食べるのですが、そのころ日本の農業が瀕死だったら…。1億人の日本人の胃袋は満たせないかもしれません。
私は国防をしたいわけではありません、少し脱線しました。
私が行う「おだあし百人たんぼ」を通じて、普段消費者の皆さんに食や農業に対して少しでも興味を持っていただきたいです。そして農家や、農家を目指す方に対して、田んぼでのイベントはお客さんがいっぱい来るのかと感じて頂ければ、誇りにもなりますし、私以外の人も田んぼでのイベントを始めてくれたら嬉しいです。
ただ稲作をするだけではなく、様々な選択肢のもとで田んぼの管理ができるようになるわけです。少しでも国内の田んぼが使われるということに寄与できればと思います。
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