薫る野牧場では現在、子牛が2頭います。
あやめの子 あられ(3か月)、れもんの子 れおん(1か月)の2頭です。
そんな2頭、ぼちぼち離乳。
離乳とは一般的に、子どもが乳から食事へと栄養の摂取方法が移行することですが、ここでの離乳は、親牛からの直接哺乳が終わり、人口哺乳へ移る段階について説明します。
親牛から直接哺乳するのではなく、搾乳した乳を哺乳瓶に入れ替え人間が与えることを「人口哺乳」と言います。ヒトの子ども同様、牛の世界にも代用乳が存在しますが、私たちは母牛の乳を与えることにこだわっています。
中々子牛も人口哺乳に応じてくれないことがありますが、今回は哺乳瓶から飲んでもらうコツもちょこっと紹介しています。
子牛の哺乳事情
一般的に牛は、一定期間母牛から直接乳を摂取します。
一方で肉牛の場合は約4か月間母牛と同居するケースもあるらしいです。
乳牛の場合は生まれてすぐの「初乳」は必ず与えますが、それ以後の哺乳については農家によりそれぞれ。数か月母牛と同居させる農家さんもいれば、初乳だけあげて終わり!という農家さんもいます。
薫る野牧場の場合
薫る野牧場では分娩からなるべく自然の、牛の生理を尊重した飼い方をしています。分娩時のリスクには配慮した上で、分娩も自然分娩。分娩用の部屋は用意せず、牛がここだと安全だと判断した場所で分娩を行います。
分娩後、子牛・親牛の状態にもよりますが、1か月~3か月間は母牛と一緒にさせます。
この間、子牛は母牛から直接乳を飲みます。
そして一定期間が経過すると、子牛を親から離します。
その後は人間が母牛の搾乳を行い、それを哺乳する人口哺乳という段階になります。
離乳後はしばらく人口哺乳
こんな感じで人口哺乳を行っています。めちゃめちゃ飲みます。
1日に大体3~4ℓくらい与えています。一気に飲ませると気管などに乳が入り、病気の原因になってしまうこともあるので、ゆっくり・何度かに分けて飲ませます。
容易ではない親と子の引き離し
引き離しに効果的なのは、時間。とにかく親にも子にもお互いの関係を忘れてもらうことです。
そしてもう1つは、人間の手で哺乳すること。何となくですが、人口哺乳までスムーズに行えれば、子はお腹が満たされ、親をあまり求めなくなる気がします。
薫る野牧場では1か月~3か月間親と子が一緒に過ごすので、親子の関係がしっかり出来てしまいます。そのため、離乳作業は大変。
親と子を物理的に引き離すのは容易なのですが、柵がゆるんで若干低くなっている所から、逃げ出し、気が付けば親牛のもとにいるということがあります。今回も1度脱走を遂げられました…。
因みに、そのあとは子は親を求めて鳴き、親牛も子牛を探して必死に泣きます。
意外と飲まない
人口哺乳を行えば、子牛のお腹は満たされるわけですが、1か月~3か月間親牛から乳を飲んでいた子牛たちを、無機質な哺乳瓶から哺乳させるということは、牛にもよりますが簡単なことではありません。
牛によってはお腹が空いた顔をして哺乳瓶に吸い付いてくれる子もいるのですが、中には中々吸ってくれない子牛も。そりゃそうです。いつものやつじゃないし、子牛は人間に対してもあまり慣れがありません。
今回はあられが丸2日、哺乳ストライキを行使。
どうやって飲ませたかというと、子牛に親牛のにおいをつけたタオルで目隠しをし、さも母牛がいるかのような錯覚を感じさせ、哺乳瓶を口に入れ込みます。
すると、子牛は母牛から乳を飲む感覚で、急に飲み始めます。
この方法、今回で2度目でしたが、効果あります。
こちらのサイトでも紹介されています。こちらは写真付き。ただ、目隠しに母牛のにおいを染み込ませていないもののようですね。
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