2020苗作り③機械を使わない・誰でもできる種まきで成苗を作る!《播種》

稲作

種籾の処理が終わり、いよいよ種まき。
前回の作業についてはこちらの記事をチェックしてみてください!

これまでの作業は「種もみの処理」でした。
今回からはいよいよ苗作り本番!という感じになります。

種まきは大規模農家では機械を使って作業することがほとんど。
何百枚もの苗箱を作らなければいけないのですから、使って当然です。

ですが、私は毎年30箱分の苗しか作らないので、機械を導入するほどでもありません。
私が管理を行っている1反の田んぼでは、苗箱は30箱あれば、十分です

なので今回は機械を使わない、極めて原始的な播種作業の流れをまとめていきます。

苗は「自家生産」か「注文」

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大規模農家で使われる播種機には色々あります。
50万円近くするものから、2,3万円で手に入るものもあります。

勿論、それなりの値段のする機種は多機能で、播種作業のほとんどを機械がやってくれたりします。人間は播種機に苗箱を乗っけて、機械の操作・調整を行うだけとか。

私の周りの農家さんの多くは、苗を農協に注文されている方が多いです。農協が作ってくれるのですから、だいぶ楽です。1箱送料込みで1000円しないものが多いです。

私も農協苗を考えましたが、農薬・肥料を使用せずにイネを育てる上では、育苗から自分で行ったほうが安心・安全なので、自分で苗から用意しています。さらに農協の苗には「農協の苗としての育て方」があります。指定の農薬や肥料を推奨されます。

苗にはいろいろある【稚苗?中苗?成苗?】

私は「成苗」という苗を育てるので、「成苗用の苗箱」を使用しています。
左の写真が成苗用。こんな感じで穴がたくさん空いているのが特徴。
右の写真が間違って買った中苗用の苗箱。穴の数が少ないですね。

そして、稚苗・中苗・成苗それぞれの特徴を一言で言うと、苗の大きさが違います。稚苗は勿論小さくて葉も少ない。成苗は背丈があり、葉も4,5枚つけています

播種量で出来上がる苗が変わる!

前述した「稚苗・中苗・成苗」は育苗箱1箱に何g種籾を播くか(播種量)により作り分けることができます。

苗の種類播種量葉の数育苗の日数
稚苗150g前後2~2.5枚20~25日
中苗100g前後3.5枚30日
成苗50g前後4.5~5枚35~40日

勿論、育苗の日数は気候によって前後します。
気温の上がらない、日照りが無い日が続くと育苗には時間がかかります。

寒冷地では田植え後気温が下がる日もある為、成苗・中苗がよく使われるそうです。
温暖な地域では稚苗が使われます。苗は稲の生育段階的にまだまだ子どもの段階。低気温は稲の生育にとってリスクです。なので寒冷地では田植え後から収穫までが早い成苗を植えるケースが多いようです。

播種 床土を作り、イネの種を蒔き、覆土する

機械を使わず行う播種作業です。いかに均平に、土を敷き詰め、偏りなく種を均等に蒔くのが大事な作業。集中力が極めて重要な作業です。この作業をきちんと行うと、以後、田植えまで40日近くの育苗期間、多少楽することもできます。

例えば覆土がよくできていないと、種もみが浮いてきてしまったりします。そうすると再度覆土をしなければいけなくなったりします…。とはいえ、人の作業には限界があります。丁寧になり過ぎない程度に作業を行いましょう。

使用するもの

床土 成苗用有機元肥×赤玉土・焼土(無肥料の土で代用可)
苗箱成苗用の苗箱を30箱
覆土 焼土等、なるべく粒子の細かい無肥料の土
種籾催芽処理を終えた種籾。1箱に60g蒔くので×30箱で1,800g以上

完成図はこんな感じです。下から床土・種籾・覆土です。
床土・覆土の厚さには栽培方法によって様々な方法がありますが、私はこのやり方でやっています。

作業の手順

①床土の用意

床土(とこつち)とは、苗箱に詰める土のことです。床土は色んなものがあります。

私は床土に、「成苗用有機元肥」と赤玉土(なるべく細かいもの)・焼土を混ぜて作ります。赤玉土と焼土、無肥料の細かい土で代用可能です。割合は元肥30ℓに対して無肥料の土80ℓ。有機元肥は1箱辺り窒素4g・リン酸6g・カリ3gになるように混和されます。育苗中の追肥は不要。

まずはこの元肥と無肥料の土をひたすら混ぜます。満遍なく混ぜます。

ある程度混ぜたところで水分を加えます。手で握って固まる程度ができたらOK。

これで一晩寝かせると良いようですが、時間が経ちすぎると、糸状菌が発生し土を硬くしたり、吸水性が悪くなることがあるそうです。1日以上置いて置かないようにしましょう。

②苗箱に床土を詰める、なるべく均平に

苗箱に床土を詰めます。土を詰めたらすぐ播種作業に移るのが良いとされています。前述しましたが、苗箱に土を詰めてから時間が経つと、糸状菌の発生や土が硬くなることがあります。

今回は有機元肥半分(15ℓ)に無肥料の土40ℓを混ぜて作りましたが、なんとこれだけで23箱分の床土ができてしまいました。恐らく、床土が足りていない状態でした…。2cm足らずだったと思います。来年はもう少しサービスします。

床土は苗箱の底から2㎝くらいにまで詰めます。苗箱には大体2㎝のところで印がついています。こんな感じに。なので、目視でもある程度2㎝の床土は作りやすいかと思います。

③種を蒔く

私は苗箱1箱あたり60g以下の薄蒔きを実践しています。これで成苗を作ります。
因みに、40gで蒔くべきという文献も存在しますが、発芽揃いに自信がなかったので今回は60gで統一しました。

当然の話ですが、種が1箱に対して多ければ、それぞれ土・水から養分を奪い合いが起きます。薄蒔きであればあるほどそれぞれの種に十分な養分が行き届き、葉が多く背丈もある「成苗」が出来上がる訳です

箱に均等に蒔くのはめちゃめちゃ難しいです…。偏りができないように集中して作業します。

④ベニヤ板で鎮圧し潅水

苗箱の大きさにカットした板で苗箱に抑えます。覆土後に種が浮かないために鎮圧します。床土がしっかり2㎝敷き詰められているかもチェックすることができます。

床土詰める→鎮圧→2cmかチェック→足りていなければ床土追加→鎮圧→2㎝あれば播種→鎮圧という流れが一番確実かもしれないと今回初めて思ってしまいました。来年からはこの流れでやるべし。

そして水をやります(潅水)。覆土をした後に潅水をすると、様々な不都合がおこるそうです、この理由はあまり分かっておりませんので、詳しい方教えてください(笑)

⑤覆土(ふくど)

最後に土を被せます。覆土は0.5㎜を目安に行いますが、覆土のし過ぎは禁物。種もみが見え隠れする程度の覆土が推奨されています。実際は0.5mmも被せてないかもしれませんね。

覆土に主に使う土はこちら。近所のカインズで売っているエス・ケー焼土。床土にも混ぜて使用しています。細かい土で、使い勝手が良いです。なにより「覆土用」と書かれているので安心です(笑) 値段が若干高いですが、安心を買っているということで、毎年使わせて頂いております。

来年はこれを購入したい 育苗箱ならし板

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育苗箱のならし板です。

苗箱に2㎝の厚みで床土を詰められているのか、毎回心配になってしまいますが、この道具があればそれも解決。土を平らに均すことも可能。正直今年、これと同様のものを作ろうと思っていましたが、作るまでもなさそうなので、今すぐ注文しようと思います。

播種作業はここまで。全行程、2人で2時間半~3時間!

これにて播種は終了です。次回は出芽、そしていよいよ苗になります。

芽がしっかり出るか、非常に心配になります。とりあえず芽が出てしまえば、苗になって、田植えが終わってしまえば、あとは収穫するだけです。

「苗八作」とはよく言ったもので、この時期の作業は本当にドキドキさせられます。
さて、無事に芽はでてくれるのでしょうか。次回の記事もお楽しみに。

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